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「伝えたい」を支える動詞の力

公開日
2025/10/26
更新日
2025/10/24

ことばの教室

「語彙を増やす」と聞くと、食べ物、道具、生き物の名前などの名詞に注目しがちです。もちろん名詞の語彙を増やすことも大切ですが、意外と大切なのが動詞の語彙です。

子どもたちの「なんて言ったらいいか分からない……」という悩みには、会話の述部にあたる、様子の言葉、動きの言葉が分からないから説明できない、ということも多くあります。

たとえば、休み時間に友達とトラブルがあったとき、「〇〇さんがいやだった」とだけ言う子がいます。でも、何が「いや」だったのかを聞いてみると、

  • 「押された」

  • 「にらまれた」

  • 「無視された」

  • 「急に走って逃げられた」

など、動きや様子の言葉が出てくることで、状況がぐっと具体的になります。

また、授業中に「わからない」と言う子も、実は

  • 「聞き逃した」

  • 「説明が早すぎてついていけなかった」

  • 「言葉の意味が分からなかった」

など、動詞を使って状況を説明できるようになると、周りも適切なサポートがしやすくなります。

動詞の語彙は、気持ちや状況を伝えるための大切な道具。名詞だけでなく、動詞にも目を向けて、子どもたちの「伝える力」を育てていきたいですね。