学校日記

12月3日(水)【文豪給食・森鴎外】

公開日
2025/12/03
更新日
2025/12/03

給食

◯牛乳

◯ごはん

◯豚鍋風

◯茶漬けのお出汁

◯甘納豆


今年度は内田先生に相談して、国語の教科書に登場する文豪にちなんだ文豪給食にチャレンジすることにしました。第一回目は森鴎外です。森鴎外は食事に数々のこだわりがあったことで知られています。温泉まんじゅうをごはんにのせ、お茶をかけて食べる独特な「お茶漬けまんじゅう」や刺身を加熱する「刺身のにつけ」などが有名です。今日の給食では、その雰囲気を再現するため、温泉まんじゅうの代わりに少量ですが小豆の甘納豆を添えました。ごはんとは別に食べても良いし、鴎外にならってお茶漬けに組み合わせてみてももちろんOKです。また、彼は軍医としての経験から生食を避け、しっかり火を通すことを大切にしたとも言われています。豚鍋風は、具材を加熱してうま味を引き出し、安全においしく食べられるように工夫しています。作品だけでなく、食の面からも文豪のこだわりに触れてみましょう。



写真1枚目


玉ねぎは切り方によって食感も味も変わってきます。煮物の玉ねぎは甘さを引き立て、具としての存在感も出るように大きめに切ります。


写真2枚目


肉が多い料理は臭みが出やすいので、生姜と一緒に良く加熱してからだし汁を入れます。そのあと、沸いてからあく取りをしっかりすると、肉の臭みが取れやすいです。



【食育掲示】文豪給食・森鴎外


森鴎外の作品には、時代の空気や人の心のゆらぎを細やかに描く場面が多くあります。『高瀬舟』では、わずかな食べ物のやりとりから人の思いやりがにじみ、『』では主人公の何気ない日常の奥に小さな食卓の情景が静かに漂います。「食べること」そのものは大きく描かれなくても、人の生き方を見つめる視線の中に食文化がそっと息づいています



 森鴎外は20代前半でドイツのベルリンへ留学し、当時の最先端だった衛生学や細菌学を4年間かけて学びました。ベルリンでの生活は、医師としての知識を大きく広げただけでなく、異国の文化を観察する目を育て、後の『舞姫』などの作品にも影響を与えています。

 衛生観念がまだ確立していなかった時代に、ドイツ式の「食の安全」や生活管理を持ち帰ったことは、鴎外の日頃の食習慣――火をしっかり通す、調理を丁寧に行う――にも深く結びついていました。

 刺身や果物でさえ、そのまま食べることは好まず、火を通してから食べるのが好きだったそうです。


一方で、鴎外には意外な「甘党」ぶりを感じさせるエピソードも残っています。特に有名なのが、温泉まんじゅうをごはんにのせ、お茶をかけて食べるという独特の組み合わせ。家族は少し驚いたそうですが、鴎外にとっては心がほっと落ち着く一品だったとか。医師として厳格な一面をもちながら、食に対してはどこか遊び心のある姿がのぞく瞬間です。文豪の少し不思議な「甘い好み」に触れると、今日の甘納豆にも親しみがわいてくるかもしれません。