校長室から<平成28年12月その2>
- 公開日
- 2016/12/13
- 更新日
- 2016/12/13
校長室から
冬本番となり、校庭の木々もすっかりその葉を落としました。枯木立もまたすくっと立っていて、身の引き締まる思いがします。第2学期も残すところあと8日間です。
平成28年度12月その2
「生きることの意味」
平成28年12月12日(月)
おはようございます。今日は、6年生のある女の子の文章を紹介します。このお友達は文章を書くのが苦手だったのですが、ずいぶん書けるようになりましたね。こんな文章です。
生きる意味を教えてくれた日
私は土曜日ボランティアに参加しました。そして、私は一人のおばあちゃんと一緒に過ごしました。その娘さんも来ていて、娘さんが、
「お母さん、ご挨拶して。」
と言ったら、おばあちゃんも笑顔で
「こんにちは。」
と言ってくれました。私も
「こんにちは。」
と返しました。
おやつを食べている時、おばあちゃんは言ってくれたのです。
「私は車椅子だけど、今、生きているんだよ。実は自殺しようとした時があったけど、生きる道を選んだんだ。」
と小さな声で言ってくれました。私は、
「明日100%生きている人が、自分で自分の命をなくしていく。生きる道を選んでくれて、ほんとうによかった。」
と言いました。優しいおばあちゃんに出会えてとてもよかったです。
なぜこの文章を紹介したかと言うと、今日は江戸川小学校の皆さんに「人権」について考えてほしいと思ったからです。12月4日から10日は「人権週間」でした。ほんとうは先週の朝会でお話したかったのですが、持久走大会の奮闘ぶりを伝えたかったので今週にこのお話を持ち越しました。さて、人が人としてあたりまえに生きていく権利、それを「人権」と言います。それは、誰にでも平等に与えられた権利です。「人権を大切にする」ということは、1年生にも分かる言葉で易しく言うとすれば、「自分も大切にし、人も大切にする」ということでしょうか。
人には様々な違いがあります。男女の違い・大人と子ども・障害のある方とない方・高齢者と若者・外国人と日本人・・・挙げたらきりがありませんね。これらの違いを互いに理解して、互いを大切に思ってかかわっていく社会が望まれています。
さて、この作文に登場されたおばあちゃんは、お年も召されて車椅子とあれば、今までに心の中にさぞ苦しいこともあったのでしょうね。自殺を考えたなんて言葉には、ドキッとさせられてしまいます。悲しみで心がいっぱいになります。でも、このおばあちゃんは「生きる道」を選んだと言うのです。なぜでしょうか。なぜこのおばあちゃんは「生きる道」を選ぶことができたのでしょうか。人が人としてあたりまえに生きていけること、それが「人権」の考え方です。年をとればとるほど、車椅子に乗っていたって、生きることは素晴らしいと気づいたのかもしれませんね。生きるということは、そういうことだよと
このおばあちゃんは、6年生の女の子に教えてくれたのかもしれません。おばあちゃんのその言葉を引き出した女の子も、また見事でした。
自分を大切にする子は、人を大切にすることができます。
人を大切にする子は、自分も大切にしているはずです。
江戸川小学校の子どもたちが、みんなそのような子どもたちになりますように。
願いを込めて、お話を終わります。