重陽の節句の行事食
- 公開日
- 2023/09/08
- 更新日
- 2023/09/08
給食
9月9日は五節句の1つである「重陽の節句」です。「菊の節句」とも呼ばれ、菊酒を飲むなどして、無病息災や長寿を願います。「重陽の節句」は平安時代の初めに中国より伝わりました。古来中国では、奇数は縁起が良い「陽数」、偶数は縁起の悪い「陰数」と考えられ、陽数の最大値である「9」が重なる9月9日を「重陽」と呼び、節句の1つとしました。旧暦の9月9日は、現在の10月中旬ごろにあたり、まさに菊が美しく咲く時期です。菊は「仙境に咲く霊薬」として、邪気を払い長寿の効能があると信じられていました。
『源氏物語』で有名な紫式部は、自らの歌集『紫式部集』にこんな歌を詠んでいます。
「菊の花 若ゆばかりに袖ふれて
花のあるじに 千代はゆづらむ」
重陽の節句、平安時代には前日の9月8日に菊の花を真綿でおおって菊の香を移し、その翌日の朝に露に湿ったこの真綿で顔にあてて、長寿と健康を保とうとする行事がありました。これを「菊の着せ綿」といいます。
この日、紫式部は藤原道長の北の方、源倫子(みなもとのりんし)から菊の着せ綿を贈られて大変感激したようです。当時、綿は大変高価なもの。いくら道長の娘・彰子(あきこ)にお仕えしているといっても、自分には身分不相応と遠慮したのでしょう。
現代語訳「(着せ綿の菊の露で身を拭えば、千年も寿命が延びるということですが、)私は若返る程度にちょっと袖を触れさせていただき、千年の寿命は、花の持ち主であられるあなた様にお譲りいたしましょう。」とその着せ綿を丁寧にお返ししようとしたとのことです。