学校日記

山近朔風吹積雪天寒落日淡孤村

公開日
2015/10/09
更新日
2015/10/09

校長室より

 いったい何なんだ、この題は……? と思われている人も多いことでしょう。実は、これは蘇軾という人の書いた漢詩の一節です。実は、私はこの詩を毎日眺めながら仕事をしているのです。
 第12代校長の堀亮子先生がお書きになった校長室に飾られている条幅にこの詩が書かれています。私自身も国語の教員として四半世紀教壇に立っていたわけですが、この半年間、恥ずかしながら何と書いてあるのか読めないままだったのです。ずっとずっと気になっていました。しかし、今の時代はありがたいもので「インターネットで調べたらわかるかもしれない」とひらめき、部分から全体を導き出すことに挑戦してみました。この条幅で連続して間違いなく読める部分が「積雪天寒」でした。この4文字で検索してみると、見事ヒットしたというわけです。
 読み方は「山近く朔風(さくふう)積雪を吹き 天寒く落日孤村に淡し」、意味は「山では北風が積雪を吹き払い、寒空の下に落ちかかる夕日は村を淡く照らしている」というものです。冬の寒く寂しい情景を詠んだものだと思われます。
 着任以来、ずっともやもやしていたものが一気に解決し、とても清々しい気持ちになりました。きっと一生涯、この詩は忘れないものになるだろうと思っています。
 思うに「勉強」というものは、もともとはこういうものなのではないでしょうか。「わからない」「知りたい」という気持ちから「調べる」「考える」作業が生まれ「理解できた」「楽しい」という結果が導き出されるのです。生徒たちの勉強も「やりたくないのにやらされている」という気持ちで取り組んでいたら十分に身に付かないでしょうし、何よりも勉強が嫌いになってしまうでしょう。ですから、我々教員は生徒たちに「わからない」「知りたい」という『知的好奇心』を心に芽生えさせることが最も重要なのだと思います。
 しかし、そのような授業を目指して教員は日々研修を積んでいるのですが、なかなか思うようにはならず試行錯誤の連続です。私自身もいまだに「これだ」という答えを見つけられないままです。
 ただ、三十有余年の教員生活振り返ると、卒業する時にごく少数ですが「先生のおかげで苦手だった国語が好きになった」「将来先生のような国語の先生になりたい」という言葉をくれた生徒がいたことを思い出します。その時は、自分の授業から「勉強の楽しさ」が伝わったことに心の中でガッツポーズをしたことを思い出します。(もちろん社交辞令の部分も大きいということは自覚していますが……)
 校長室の堀先生の条幅を眺めながら、一人でも多くの生徒たちに「勉強の楽しさ」を知ってもらうために校長としてどのように取り組んでいくか、日々考えていきたいと思います。

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