学校日記

2学年だより

公開日
2018/10/15
更新日
2018/10/15

お知らせ

ノーベル賞って半端ない
 毎年、この季節になり、世界中の話題となる一つが「ノーベル賞」でしょう。ノーベルというのはスウエーデンの人の名前で、ダイナマイトをはじめとする爆薬の開発、生産で多くの財産を残した人です。彼は自分の発明したものが、兵器や武器としても使われ、多くの批判を受けたことにも苦しんでおり、遺言を残すことにしました。「自分の発明に対する遺産は基金とし、今後人類のために多大な貢献をした者たちへ分配すること」これが世界のノーベル賞の始まりです。現在6つの部門があり、1901年以来、各部門別に授与されてきて、日本では今年27人目が授与されました。中でも今年の本庶佑(ほんじょ たすく)さんの受賞した生理学・医学部門は近年、日本人の受賞が続いており、注目されているところでもあります。
 話題になっていることには、日本人の2人に1人がかかるというがんという病気に効果がある、という点でしょう。人の持つ免疫力を回復させる薬の開発ですが、まだまだ研究開発の途中でもあり、すべてのがん患者に効果があるものではないようです。もとは、平成3年、この研究のきっかけとなる新たな発見をしました。しかし、研究を進めていき2年がたったころ、それは無関係なことだと判明しました。普通ならここであきらめて終わりになりそうなところですが、「面白そうだから続けてみた」ことが、この発見につながったのです。マウスの実験も成功したのですが、いざ治療薬を作るとなると、成功、失敗、挫折の繰り返しでした。しかし、研究者としての「こだわり」が、まさに人類のために大きな一歩になりました。このように実はノーベル賞受賞に際し、論文を発表し、研究成果が検証されるのには、何十年もの年月を費やすことも少なくありません。ですから、やはりノーベル賞にたどり着くのは大変名誉なことであるといえます。研究者たちの間では、しかし何十年もの間、研究を続けるのにも環境や経済が重要な課題だといわれています。
さて、研究者本庶先生のすごいところ、わかりますか。研究の原動力は「何かを知りたいという好奇心」だと答えています。研究をする上で大切なことは「好奇心(Curiosity)」「勇気(Courage)」「確信(Confidence)」「集中(Concentration)」「挑戦(Challenge)」「継続(Continuation)」と「6つのC」で表現しています。「定説を覆さなければ科学は進歩しない」それは定説に沿わないものはなかなか認められないで苦労もするけれど、後世や記憶に残るものはそういうものばかりであるというのです。「誰もが振り向きもしない石ころを拾い上げ、ダイヤモンドに仕上げていくことに魅力がある」それは手間も時間もかかることだけれど、思いがけないものを得ることになる可能性をもっているということです。
 私たちは今、日々の生活に追われ、あわただしい世界の中で生きているような気がしています。それでも時間をたっぷり使いたいところ、こだわっていることへの手間暇のかけ方、人それぞれあってもいいのかもしれませんね。本庶さんは研究だけではありません。遊びにも全力だったといいます。人の生き方として、何事にも全力でこだわりをもってみる、というのも自分を貫くという意味では十分ありですよね。ノーベル賞とは言わなくても、自分がそこにいたら何ができるか、どうすべきか、ということをまた考えてみたくなりました。
 12月10日ノーベルの命日が授賞式です。晩さん会や舞踏会という映画の世界のようなきらびやかな模様がまたニュースになるはずです。また歴史ある賞には、いろいろな楽しい遊び心もちりばめられています。ぜひ気にしてみてください。