学校日記

「口に苦い良薬」や「耳に逆らう忠言」は自分の成長の糧

公開日
2016/05/30
更新日
2016/05/30

校長室より

 30年以上前、私の好きだった漫画に古谷三敏さんの『寄席芸人伝』というものがありました。今でも全巻本棚の奥に並んでいます。その本の中に「伯楽天駒吉」という話があり、二人の落語家が対照的に描かれているものです。一人は有名な大学の学生に落語を聞いてもらって「登場人物の心理描写が云々」「内面の葛藤を云々」というように難しいアドバイスを受けています。もう一人は行商の海苔屋のおばあさんに聞いてもらい、「小難しい言葉はわからない」「○○って言葉、どういうこったい?」と言われながら練習を続けているのでした。さて、この二人が高座に上がった時、どちらがお客が心から笑える落語を聞かせることができたか……答えは想像のとおり、後者です。
 同じようなことは我々にも当てはまります。教員になりたての頃、先輩たちから「我々が文章を書くときには、教員じゃない人たちが読んでもきちんと理解してもらえる文章を書くことが大事だ」とよく言われたものです。難しい言葉を多用した文章が「良い文章」ではなく、誰にでもわかってもらえる、言いたいことがしっかり伝わる文章こそ「最も良い文章」なのだということです。
 さて、この「校長室より」という文章を書くにあたって私にとっての「海苔屋のおばあさん」は誰なのかというと……それは私の「妻」なのです。先日も「この文章、まわりくどくない? ここで終わらせればいいのに何でこんなこと付け足すの?」などと温かくも厳しい言葉をいただき、人知れず文章を修正しました。読み返していただくと「以前読んだのと違う気がする!?」というものがあると思います。
 妻に言われて、正直ムッとすることもないわけではありません。しかし、このような一方通行の文章を書いているとつい独りよがりになってしまい、いわゆる「鼻につく文」になりがちなので、言ってもらえることはありがたいことだと思うようにしています。「我以外皆我師也」の気持ちを忘れずにこれからも書いていきたいと思っています。「良薬は口に苦し」「忠言耳に逆らう」という言葉がありますが、こちらの気持ちを変えれば、良薬も苦くは感じなくなり、忠言も耳に優しく聞こえるようになるのではないでしょうか。
 さてさて、今日の文章はまたまた「ダメだし」をもらうのか、「まあ良いんじゃない」という合格点をもらえるのか……、次回この文章を読まれたときに判断していただきたいと思います。

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