一之江第二小 北門

学校日記

11月号

公開日
2011/10/29
更新日
2011/10/29

学校だより

叱 る
校長  高橋 飛秀
先月の学校便りで、「ほめる」ということについて述べました。子ども達の成長にとって「ほめる」ということがいかに大切かということについて述べたわけですが、子ども達の成長をサポートするためには、場合に応じて「叱る」ということも、もちろん必要です。
今月は、「叱る」ということについて述べてみたいと思います。
最近の子どもは、コンビニエンスストアやお店の店員に横柄な口を聞くという記事がある雑誌に載っていました。その理由は、子どもであっても客という立場なので、「お客様これでよろしいでしょうか。」と大人がへりくだってくれるからだそうです。そういう生活環境の中で社会性を学んでしまった子ども達は、幼くして「社会の中の主体」としての意識を身につけていきます。つまり、消費活動を通して、大人と同等という意識を身につけていくのです。そうなれば、そう簡単に周りの大人達の注意を聞かなくなるだろうという記事でした。
「ダメなことはダメ。」と大人や教師が言えば、多くの子どもが素直に従った時代もありました。そこは、今のような情報社会ではなく、大人には大人の、子どもには子どもの社会がしっかりと区別されてありました。また、子どもがお金を使う機会は、現代に比べてはるかに少なく、何か買うにも、いわゆる駄菓子屋という子ども社会に特化した場所がほとんどだったのではないかと思います。そこでは、店の人(私の場合、おばさんでしたが)が子どもにへりくだる場面はほとんどなかったはずです。子どもが社会性を身につけていく場面も、消費を通してではなく、労働、つまり「お手伝い」を通してがほとんどだったのではないかと思います。食器の片付け、父親の靴を磨く、犬の散歩、家業の手伝い。そういう母なり、父なりがしていた仕事の一部を子どもが代わって行う。親からすれば家事労働がわずかなりとも軽減するわけですから、当然「ありがとう」とか「よくやったね」とかほめてくれる。子どもはそれがうれしいし、誇らしかったのです。そこから、子どもは家族という最小の社会関係の中で、最初に有用なメンバーとして認められたことを実感し、それを通じて社会性を身につけるためのプロセスを積み重ねていったのです。
労働には、達成感はもちろん、社会訓練も含まれています。そこには、自分が出来ないことが出来る大人への尊敬、自分もいろいろなことが出来るような大人になりたいという向上心、自分の労働の価値を認めてくれる大人への信頼感等、健全な社会性を育むために必要な要素がたくさん含まれています。
だから、「ダメなことはダメ」が有効だったのです。
しかし、消費活動を通して社会の主体としての意識が身についてきているとする現代の子ども達に対しては、なぜ叱るのかという「理由」を子ども達が納得できるような「説得力のある言葉」ではっきりと伝えることがより必要となってきていると言えます。
そのためには、次の様な点に配慮していくことが大切だと思われます。
○叱るべき時に叱る(感情で叱らない)○成長を願って叱っているという気持ちを伝える○くどくど叱らない○叱っている理由が伝わっている○改善のポイントが明示されている○つながりのない過去の失敗を持ち出さない○体罰で叱らない
 子ども達の本質は変わらないと思います。しかし、社会は大きく変化していきます。その変化に応じて、子ども達の成長をより良くサポートしていきたいと思います。「ほめる」ことを中心に、そして上手に「叱り」ながら。

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