一人ひとりの「できた」を大切に。巡回指導教員と目指す、西葛西中学校の新しい集団作り
- 公開日
- 2026/05/27
- 更新日
- 2026/05/27
校長室より
【対談者】
西葛西中学校 校長
巡回指導教員(週1回水曜日来校、本校2年目)
1. チームで子供を支える:SC・SSW、そして巡回指導教員との連携
校長:
西葛西中学校には、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)、そして巡回指導教員など、多くの専門家が関わってくれています。今年度、本校は教員の約半分が入れ替わったこともあり、改めてこうした「専門家との意図的な連携」を強化したいと考えているんです。他校での良い実践などを含め、どのような連携が理想だと思われますか?
巡回指導教員:
担任の先生方は日頃から本当によく情報を共有してくださっていますが、そこにプラスアルファで、私たち専門職や校長先生も交え、「小さく、早く」動ける環境があると理想的ですね。
会議という堅苦しい場ではなく、「ちょっと気になる子がいるから相談させて」と、水曜日に来校した際に気軽に声をかけていただけるような、敷居の低い関係性をさらに作っていきたいです。私は家庭訪問なども可能ですので、学校の外と中を繋ぐ役割としても、ぜひもっと私を「使って」いただきたいなと思っています。
2. 「これなら絶対にうまくいく」はない。だからこそ、粘り強く次の方策を
校長:
お互いに経営的な視点も持ちながら、西葛西中の課題に踏み込んでいきたいですよね。先生が昨年度から本校を見ていて、実感されている課題や、先生方に知っておいてほしいことはありますか?
巡回指導教員:
昨年度強く実感したのは、「これがうまくいったから、他の子でもうまくいく」という共通の正解は絶対にない、ということです。
例えば、別室登校が合う子もいれば、外部の「未来サポート」のような場所が合う子もいる。1つの方法を試してうまくいかなかったとしても、それは決して失敗ではありません。そこで諦めず、「じゃあ次は別の方策を試してみよう」と、粘り強く別の扉を叩き続けることが、子供たちの可能性を広げるのだと信じています。
3. 【いよいよ今週末!】運動会という行事を「つながり」のきっかけに
校長:
今週末の30日(土)はいよいよ運動会です。不登校傾向の子や別室で過ごす子たちの中にも、「行事には出たい、みんなと関わりたい」と思っている子は多いですよね。ただ、当日いきなり来るのはハードルが高い。この運動会という大きな行事を、私たちはどう捉え、どうアプローチしていけばよいでしょうか。
巡回指導教員:
行事は、子供たちが集団と「つながる」ための大きなチャンスです。ただ、全員が同じ形で参加することだけがゴールではありません。
スモールステップでの参加: 事前の学年練習だけ来てみる、当日は見学席から応援する、それだけでも十分立派な参加です。その子のペースに合わせることが大切です。
事後学習の柔軟性: 行事の後の作文や振り返りシートも、周りの子と同じ量を目指す必要はありません。「その子ができた量」をボーダーラインとして認め、受け止めてあげてほしいです。
校長:
なるほど。「みんなと同じ」を求めるのではなく、自分なりの参加を認めてあげる。
巡回指導教員:
はい。行事に出たからといって、すぐに翌日から毎日教室に復帰できるわけではありません。しかし、行事を通して生まれた「楽しかった」「みんなと同じ空間にいられた」という繋がり貯金が、次のステップ(例えば2学期の始まりなど)への大きなエネルギーになります。
また、教室にいる生徒たちにとっても、「色々な参加の形があっていいんだ」と受容できる、多様性のある集団作りの機会になれば素敵ですね。
4. 西葛西中の強み「社会性」と、これからの「包摂性(インクルーシブ)」
「あいさつや号令のメリハリは、西葛西中の素晴らしい武器。だからこそ、それが苦手な子も『自分のできる範囲で』認められる温かい集団へ」
校長:
本校では今、「挨拶の時間を守る」など、社会性を育てる指導を徹底しています。授業の最初の号令も本当に大きな声が出ていて、先生方の指導の成果だと自負しています。一方で、こうした「みんなでビシッとやる空間」が、苦手な子もいますよね。
巡回指導教員:
西葛西中の挨拶のメリハリ、声の大きさは本当に素晴らしいです!社会に出てから大きな武器になるスキルが身についていると感じます。
だからこそ、次のステップとして、「声を出すのが苦手な子が、自分のできる範囲で参加していること」を、周りの子供たちが自然と理解し、受け入れられる空気(包摂性)が生まれると、さらに素晴らしい学校になります。
「みんなと同じことができないから、僕はダメなんだ」と自尊感情を傷つけてしまうのが一番もったいない。「ここまでできれば100点満点だよ」と、高度専門職である私たちが一人ひとりに合わせて物差しを変え、認めていく時代なのだと感じています。
5. 今年度の新たな挑戦:アンケートの「蓄積」と次年度へのバトン
校長:
今年度は、アンケートの質問内容も少し変えられたそうですね。そこにはどんな意図があるのですか?
巡回指導教員:
学期ごとに「どんな成果があったか」「先生方がどう取り組んだか」をデータとして蓄積していきたいと考えています。
「今年度の1学期にこれをやって良かったから、次年度もやろう」「今の2年生で効果があったから、新2年生でも引き継ごう」というように、先生方の素晴らしい実践を次の学年や次年度へしっかりと繋いでいくための軌跡(データベース)にしたい、という意図があります。
校長:
素晴らしいですね。先生は巡回2年目、非常に難しい役割を担ってくれていますが、私たち学校経営陣も巡回指導教員とがっちりタッグを組んで、一緒に動いていきます。ぜひこれからも、西葛西中の子供たちのために力を貸してください!
【校長より】
今回、水曜日に本校を支えてくれている巡回指導教員の熱い思いを伺いました。今週末の運動会、一人ひとりの輝く姿をぜひ温かく見守ってください!