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学校日記

オリンポスの聖女

公開日
2016/12/26
更新日
2016/12/26

学校生活

12月26日(月)くもり【窓24・室20】
〇オリンポスの聖女
 私は、通勤の際、『手ぶら』を常とします。何も持ちません。江戸川区に転勤してきた23年前から何も持っていないと思います。手ぶらといっても、ハンカチ、時計、定期入れ、携帯、いやスマホは持って出かけます。勿論、財布はありません。宇喜田小学校に着任してからは、新しく『本』が追加されました。
 今日、コートのポケットには、池波正太郎、特別長編迷路『鬼平犯科帳22』が入っています。本は、私を異次元の世界にワープさせます。本を開いた瞬間にワープします。私にとって読書は、ストレスの発散の場です。その世界に入り過ぎて、バスや電車を乗り過ごしてしまったことは何度もあります。手軽な文庫本は、ポケットに隠れるので重宝しています。そんな本ですが、今年の3月、本好きの児童と面談した時に『小説家』の話になりました。『私は○〇さんの本しか読みません。』という言葉が印象に残りました。

 私が、宇喜田に来てから一番読んでいる作家は誰だろう…。6月に新聞の新刊広告の欄に目が行き、すぐに、図書館に予約を入れた本がありました。その作者が気になったからです。
 それは、浅田次郎の『帰郷』です。広告の見出しも読まずに、その場で予約を入れたのは、浅田次郎の小説に興味があったからでしょう。画面をクリックしながら予約を入れると待ち人数の多さにビックリしました。忘れたころの12月のはじめに図書館から連絡が来ました。それまでに浅田次郎の本は、何冊も読みました。何故、新聞広告の浅田次郎に目が行ったのかと言うと、出会いは、数年前にさかのぼります。浅田次郎との出会いは、たまたま、NHKラジオ文芸舘から流れていた小説が浅田次郎の『オリンポスの聖女』だったのです。ラジオに耳を傾けるつもりは全くなかったので、最初の方は聴いていませんでした。ところが、何故か途中から耳に残るようになってしまいました。これが、浅田次郎との出会いです。本好きの知り合いからもこの本を紹介され、ついに小説に出会うことになったのです。浅田次郎の長編を読み始めると、あの『オリンポスの聖女』のことが忘れられなくなってきました。そして、浅田次郎『姫椿』を読んでいた時、獬(シエ)、姫椿、再会、マダムの咽仏、 トラブル・メーカー、永遠の緑と読んで行き、最後に『オリンポスの聖女』と出会い、浅田次郎という名前が記憶にしっかりと残ってしまったのです。
 長編、短編それぞれのイメージ、作品のイメージ、読んでいて私好みのものが多かったように思います。中でも、『オリンポスの聖女』は強烈でした。
浅田次郎『帰郷』は、短編小説です。図書館から借りてくると、次の予約が入っているので延長貸出しが出来ませんと念押しされました。文庫サイズではないので、毎回、手に持って電車に乗りました。帰郷、鉄の沈黙、夜の遊園地、不寝番、金鵄のもとに、無言歌と読んでいくたびに『オリンポスの聖女』が蘇ってきました。所謂、浅田ワールド全開です。
まだ、浅田次郎の短編小説と出会っていない方がいるなら、是非、この冬、挑戦してみて下さい。